うつの絶え間に読む 心が軽くなる書籍 3

結晶物語 江本勝

本書との出会いは、学生時代に遡ります。デザイン科の講義の中でK先生が紹介されたのですが、よほど印象的だったのか、当時のことをよく覚えています。K先生は研究内容もご本人も大変個性的な方でしたが、授業の中で最も面白かったのは、「様々な素材を触った時の、人体から出る波動の変化を測定する」という摩訶不思議な実習でした。

例えば、天然素材の木綿や麻の布に触れた時と、ポリエステルなどの化繊の布に触れている時で、人の波動にどのような変化が起こるかを波動測定機を使って計測するのです。波動測定器がどういう仕組みなのかさっぱり?なのですが、ともかく計測器の針が示す数値を学生は真剣にメモしました。

結果は予想通り、天然素材の心地よい手触りの布の方が、ツルツルの化繊より波動が高くなっていました。同じ素材で色違いではどうか、織りの粗さ違いではどうか、なども計りました。色彩の比較では、同じ色でも波動が上がる人と下がる人がいて、人によって色から得られるパワーが違うということが分かりました。因みに、私は青でパワーアップし、友人は赤で、K先生は蛍光ピンクでした。

一部では有名なオーリング・テストもK先生から教わりました。オーリング・テストとは、1970年代に大村恵昭博士によって考案された、体内の状態や物質との相性を調べる検査方法です。被験者Aが片方の手の親指と人差し指(他の指でも可能)でアルファベットのOの輪を作り、反対の手で実験したい対象(薬や金属など)に触れます。

次に、Aの指の輪を検査者Bが広げて開けようとします。その時、指の輪が離れて開くか否かで、力の入り易さを判断するのです。力が強まれば触れている対象はその人に合っている、輪が開けば力が弱まっているので合わない、ということです。

とても不思議ですが、現在でも歯科医院、鍼灸院、耳鼻咽喉科などで薬の選定や、金属アレルギーテストの補助的な役割として活用する所もあるようです。一種の筋肉反射テスト(キネシオロジー)というのでしょうか。波動測定器とは、これを機械でするようなものという認識でした。(多分…)

話が逸れてしまいましたが、アートとスピリチュアルを混合したようなユニークな研究をされているK先生おすすめの本とあって、学生だった私はとても興味を惹かれ『結晶物語』を入手したのです。

その内容は、ガラス瓶に入れた水に「きれいだね」「ありがとう」「愛・感謝」の言葉を見せたり、クラシック音楽を聴かせた後、その水で人工的に結晶を作ると美しい形の結晶になるが、「ばかやろう」「ムカツク・殺す」「嫌い」の言葉を見せたり、ヘビーメタルの音楽を聴かせると結晶がいびつに歪み、形にならないという実験の記録でした。実験結果の顕微鏡写真が豊富に掲載されているので、説得力があります。

生物の身体はほとんど水分です。水に言葉をかけるのも、人や動植物に言葉をかけるのも、おそらく内部では同じ現象が起こっているはずです。否定的な言葉を投げかけるというのはこういうことなのだと、バラバラに壊れた結晶の写真が教えてくれます。

波動測定の実習を経ていた私は、それぞれの言葉から波動が出ていて、水にも影響を及ぼすという説を素直に受け入れられたのですが、やはり異なる意見もあるようです。

科学的な視点から見れば、物質である水が言葉を聞いて結晶の姿を変えるというのはありえない。実験者が無意識的に、「ありがとう」で綺麗な結晶を見つけ易い心理になっているだけではないか。道徳的な話に帰結させるため、人為的に結晶を選別しているのではないか。綺麗な形が良くて、歪な形は悪いという決めつけは正しいのか?など様々な疑問や考えが巡らされています。

賛否両論あるのは当然のことですが、それでも本書が魅力的なのは、水に心があるという夢や可能性を感じるからだと思います。地球上で最も身近で必要不可欠な物質ですが、実は水が宇宙のどこから来たのかについては諸説あり、未だ結論が出ていないそうです。生まれた時から一緒にいて当たり前の幼馴染にミステリアスな一面が発覚した時のような気持ち…。読み終わった後に少しワクワクしている自分がいました。

他者からの言葉や態度をコントロールすることはできませんが、せめて自分にかける言葉、自分が誰かに投げかける言葉をもっと優しいものにしようと思える一冊です。

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