うつからの回復期に、図書館がおすすめ。

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ぐるぐる思考から抜け出す装置としての読書

抑うつが酷い時、文章を読もうとしても1行目から2行目に移る時、1行目が頭に入らず始めに戻り、読み返している最中にまた内容を忘れ、壊れたレコードのように同じ箇所をぐるぐる…いという状態になったことはないでしょうか?向精神薬の副作用なのか症状なのか分かりませんが、とにかく本を1冊読み切るなど考えられない時期がありました。そんな時は無理をせず休養するのが大事です。でも、もし少しだけ気分の良い日があれば、短時間でも本を読むことがうつ状態を抜け出す助けになるかもしれません。

私はうつの時、いつも自分を責める内側からの声に悩まされていました。油断するとすぐに「なんでこんなことができなくなったんだろう。あの人にあんなこと言わなければ…あの時こうしていれば…」という自己否定のセリフが胸を刺します。どうしようもないことが分かっていても病気の時は脳の回路がそうなっているのか、気力でこの反芻思考を断ち切るのは難しいことでした。頭から離れない自分の思考と一時でも距離を置くために、本の文章を読み、その時間は著者の考えやストーリーに集中することで、ネガティブな時間を減らすことができたのです。

うつは寄せては返す波のよう

回復期の私は、やっと人心地はついたけど、これからまた社会の荒波に飛び込むのか…病気はしんどいけど治るのも怖い。療養生活で体力も落ちているし、頭もまだぼんやり。人が怖い。一歩踏みだす勇気が出ない。という心情で、例えるなら「一度バラバラに砕けた陶器の壺を接着剤でくっつけて、両手で抱えて再び壊れないようにそ〜っと持ち歩いている人」のようでした。

一般的にも、揺り戻しと言って良くなったり悪くなったりを繰り返しながら寛解へ向かうのが普通のようです。治ってきたらそれきり良い状態とはならないのが辛いところ。それに一喜一憂していると、疲弊してしまい体感的にかなり時間が長く感じます。20代も終わりの頃、周りの友達は働いて自立していたり、仲間と飲み会や旅行に行ったり、車などの大きな買い物をしたり、結婚したり、すっかり大人で輝いて見えました。当然、それに比べて寝たり起きたりで親にも心配をかけてばかりの自分って…と焦る気持ちが募りますが、揺り戻し頻発の状態でハローワークに行くのはまだ早いという判断はついていました。

そうだ、図書館に行こう

ではどうするか。どんなに他人が羨ましくても、私はこの身体から抜け出して別の人生を生きることはできません。うつ病の場合、3分の1の人は薬物治療や療養生活をしても社会復帰できるほどには回復しないとも聞いていましたので、ここが岐路だと思っていました。まず、体力が落ちていたので歩くことから始めましたが、道で人とすれ違うだけで緊張が走りキツかった覚えがあります。そして、そんなに行くところもありません。お店やカフェなどはお金を使うので行けない。近所の公園は人が多い。消去法で市民図書館を思いつきました。

図書館はゆっくり歩いて約30分の距離で、リハビリに最適でした。どこかに時間通りに通う練習もできるし、本から知識も得られて一石二鳥な上、遅刻したとしても誰にも怒られる心配がありません。歩行は一定のリズムのある運動なので、うつ回復に良いとも言われています。歩行しながら行う歩行瞑想というものがあることも、図書館の書籍で知りました。足の動きに合わせて右、左、右、左、と心で唱えて今に集中しながら歩くと、いつの間にか目的地に到着しているので、最初に感じていた「人とすれ違うのも怖い」という感覚は消えていきました。

図書館に長く居るのも苦痛な時は、webで貸出予約をしました。あらかじめ読みたい本を収蔵図書リストから選んで予約すると、貸出可能になった時にメールで通知してくれます。貸出カウンターで利用者カードを見せると、予約した本をまとめて受け取ることができるので、自分で本棚から探す時間は要りません。図書館の滞在時間が最小限で済みますし、かなり調子の悪い時でもこれならハードルが低いです。

さらに受付スタッフに「予約の本をお願いします。」「ありがとうございます。」と声をかけることができたら、その日はそれだけで自分に100点満点!をあげていました。(笑)

その後、図書館が大好きになった私は利用者として通うだけでなく短期の臨時職員として働き、ついに社会復帰へ一歩踏み出すこととなるのですが、その話はまたの機会に。

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