四次元パーラーあんでるせんのとの出会い
長崎に不思議な喫茶店があるという話は、実は何年も前に知人から聞いたことがあったのです。その店は食事だけでなくマスターによるマジックショーがあり、占いもできるというウワサ。
マジックとレトロ喫茶という組み合わせが魅力的すぎて気になっていましたが、大人気で予約が難しいこと、自宅からは1泊必要な距離ということで諦め、すっかり忘れていました。
月日は流れ、小林正観さんのお話しの中で不思議なエピソードばかりを集めた書籍「うたし不思議ばなし・上下巻」(2022年初版)が発売され、私は翌年にSKPのネット通販から入手しました。
本書は数あるSKP書籍の中でもちょっと異色で、誤解を恐れずに言えばオカルトやスピリチュアル寄りの内容が興味深く、それでいて正観さんらしい唯物論の視点もあるのが面白いところです。
この中に「あんでるせん」という喫茶店でのマジックショーの話が出てくるのですが、長年頭の片隅にあった「不思議な喫茶店」と同一だと気付いた時の衝撃たるや!マンガだったらバリバリ〜と背景がベタフラッシュし、目は白目になっていたことでしょう。
「これは…行かなければ…!」と興奮したものの、はて、書籍の中で正観さんがいらしたのは何年前だろう?だいぶ前の話だとしたら現在のマスターはご高齢なのでは?マジックショーを引退されているかもしれないし、お店も営業していないかも?
しかし、ネットで調べてみると出るわ出るわ。魂を抜かれたような「あんでるせん体験後」のレビューの数々。四次元パーラーは今も長崎県の川棚町に厳然と存在していたのです。これは本物だという確信と共に、変に心配した自分が恥ずかしくなりました。(汗)
※現在、あんでるせんではマジックショーのみでお食事はできないようです。
予約電話でクタクタに。毎月1日はカウンター席の争奪戦
マスターがマジックをするテーブルからゼロ距離の最前列のカウンター席は、毎月1日の朝8時から予約受付開始とのこと。さっそく次月の1日まで待って電話をしてみましたが、8時から400回以上かけ直しても電話が繋がらない。「こちらはNTTです。只今、電話が大変混み合っており…」というアナウンスが虚しく返るだけでした。
あんでるせんには運命に呼ばれないと行けないというウワサ、本当なのかも。と諦めモードに入りつつ、2日目もトライします。8時からコールしてつながったのはお昼の2時過ぎくらいでした。奥様と思しき女性が出られて、ほぼ全てのカウンター席と土日祝日はすでに満席だが、平日なら少し空きがあると告げられました。
コールセンター並みに鳴り響く予約電話に数十年間対応を続けているという事実が、もはや異次元の沙汰では。電話しただけですでにめまいを感じつつ、平日2名分の予約を取りました。
そして長崎へ。待望のあんでるせん当日
2023年10月、同じく不思議好きの友人Sさんを巻き込んでいざ長崎へ。
特急とローカル線を乗り継いで到着した川棚町栄町は、のどかなところで商店街も古風な感じです。川辺の風が気持ち良く、ゆっくりした時間が流れる小さな町でした。
私は事前に「うたし不思議ばなし」のあんでるせんの箇所をSさんに見せて、「この話面白いよね。でも、期待しすぎてがっかりさせちゃったらごめんね。」などと言い、Sさんもまた半信半疑のようでした。
実際は期待以上どころか、現実感がなくなるほど度肝を抜かれて数ヶ月も後を引くことになるなんて知る由もなく…。
マジックの前から感じたマスターの超能力
13時ごろになると予約の順番に店内に入り、一旦席に着きます。店内はレトロ喫茶そのもので、テーブルや小物に至るまで昭和の香りが漂います。
目につくのはたくさん飾られた著名人のサインです。その中には安倍昭恵さんや、藤岡弘さんご一家の写真が…。(藤岡弘さんはリピーターとして常連、安倍昭恵さんは2015年に訪問されたそうです)緻密な折り紙の作品も多数額に飾られており、クオリティ高いなあと思っていたらマスターのご趣味とのこと。
お冷をいただき、店内のルービックキューブを回しながら待っていると、カウンターの奥からマスターの久村俊英さんが現れました。この時点で「えっ…?!」なのです。というのは、正観さんの書籍から推測するにおそらく70代であろうマスターが40後半〜50歳そこそこにしか見えない。佇まいが若く、髪も黒々。立ち姿もシュッとしている感じです。
マジックの後に少しお話しできる時間があると聞き、私は内心「うわ〜もしチャンスがあればなんて話そうかな。そうだ、小林正観さんの本を読んで来ましたって言おう。本の内容がすごかったのでぜひお会いしたかったと伝えよう。」と考えていました。
その時、マスターが誰に言うわけでもなく独り言のように「ああ、本…?本はねぇ〜本よりも自分がどう感じるかが大切ですから…」とつぶやいたのです !!! 誰も、一度も本の話なんてしていないのに唐突に!
「はっ?! 私、声出ちゃってた???」とパニックになり、隣の友人を見ても反応なし。やはり口は開けていません…。
その後も久村さんはポツリポツリとつぶやいていましたが、まるで、「頭の中に入ってくる客席からの複数の心の声」に答えているように見えました。マジックが始まる前から総毛立つ展開に。

これは夢?現実?心を読まれるマジック?に震撼!
さて、久村さんの指示でカウンター席に7名ほどが座り、それ以外の20名ほどは椅子とテーブルを並べた即席のスタンドからの立ち見です。(数年前なので人数はうろ覚え)最後列は位置が高いので、足腰に自信がないと少し不安かも。
整列が済むと、超能力マジックが繰り広げられる怒涛の4時間の幕開けです。
序盤からテンポよく矢継ぎ早に鮮やかなマジックが披露され、合間に入るダジャレで会場が笑いに包まれます。カウンター席の人を中心に、ほぼ全員が1回はマジックに参加するように指名されるのですが、私は人前が苦手なので、当てられないように少し下を向いていました。すると久村さんは、またしても見透かしたように私の周辺を指し「その辺りの人、後半の大役で当てますからね〜覚悟しなさいね」というようなセリフ。逃げられません(笑)
私が指名されたのは、縦横に引いた格子16マスの中に数字を入れていくマジック。メモ紙を渡され、好きな2桁の数字を誰にも見せずに書くよう指示を受けました。
心の中で「今日は27日だから27にしようかな」と思っていると久村さん「いやいや、そんなの分かりやすいでしょう」私、驚きつつ心の中で「ではラッキーセブンの77なんてどうかな?」 久村さん「ゾロ目とか面白くないでしょう」心の中で「???………では37」と書き終わらないうちに「よしそれで」と始まるマジックの続き。
この時点では何が起こっているのか誰にもわかりません。
久村さんは、次々にボードの格子の中を数字で埋めていきます。(どうやって数字を決めていたかは記憶があやふや)でも37は全然出てこない。「はい、これはあなたの選んだ数字ではないですね?まだ出てませんね?そうですよね〜」と言いながらどんどん書いていく。
ほとんど数字が埋まった時、格子の上の列の数字を足していきます。37です!下の列を全て足します。37です!斜めに足しても37です!「あなたの選んだ数字は37ですね!」と久村さん。完成したのは、縦横斜めに列の数字を足すと、全て37が出てくる魔法陣。中央の4つを足しても37!誰も知らないはずの私の選んだ37を何故????
「はい、皆さんに先ほど書いたメモを見せて。」私は呆然としながら書いた紙を客席に見せます。そこには37の文字!
友人は目を見開き固まっています。客席は息を呑み感嘆の声。私も椅子から転げ落ちそうになりました。

マジックにトリックはあるが、これはもう超能力でしかない。
実は、マジックに詳しい方はご存知かもしれませんが、これは魔法陣マジックという、よく知られた手法の一つだそうです。でも、待ってください。久村さんは私の答えを見ていません。私の心の声を聞き、久村さんからは通常の声で誘導するくだり、どう考えても人智を超えています。(ゾワッ)
他にも観客の女性の好きな人の名前を当てたり(しかもその場には居ない外国の方の名前)、終始鳥肌が収まることがありませんでした。終わった後はジェットコースターに数時間揺さぶられた人のようになっていたと思います。頭はフラフラ、足はガクガク。正観さんのお話も、魂を抜かれてこの店を出るYouTuberのレポ動画も嘘偽りなかったことを思い知りました…。
最後に少しだけ久村さんにご挨拶することができ、超能力で捻じ曲げたというお土産のフォークを購入し、握手をしてもらってお店を出ました。友人Sさんは手かざしで念力を入れてもらって、すっかりファンに。腕に直接触れていないのに、ビリビリと電気のようなものを感じたと言っていました。
13時半頃始まって店を出たのが18時近く。あれほどのマジックを次々と披露し続ける、すさまじい集中力と体力はどこから来るのか。それを連日数十年間…。ショーでの身のこなしや手捌きの美しさ、話題の軽快さ、眼光の鋭さなど、マスター宇宙人説が出るのも深く頷けます。

沸騰した頭を抱えて、テーマパーク長崎ハウステンボスへ
川棚町を出る頃には日も暮れて、辺りは真っ暗です。川棚駅からローカル線で約12分、中世ヨーロッパを模したテーマパーク、長崎ハウステンボス場内のホテルに宿泊予約をしていました。
入場ゲートを通ると、日本一の規模を誇るイルミネーションが盛大に煌めいていました。が、しかし。私たちは先ほどまで四次元のジェットコースターに振り回されていたものですから、イルミネーションを無表情で眺め「やっと人里に帰ってきた。」とばかりにカームダウンしました。
まさかハウステンボスのイルミネーションで頭を冷やすことになるなんて。ついでに、10月はハロウィンイベントでゾンビが庭園を徘徊するショーをしていたのですが、心ここに在らずの私たち2人は無表情でゾンビを見送る始末。どちらがゾンビかわかりません。

読書から始まった異次元の旅は、ゾンビで終焉を迎えた。
知人のウワサに始まり、小林正観さんの書籍「うたし不思議ばなし」との関連を知り、電話400回以上×2日の予約、平日の仕事調整という難関を潜り抜け、たどりついた「四次元パーラーあんでるせん」への旅、「超能力マスター久村さん」との出会いの顛末、いかがだったでしょうか?
一緒に行った友人Sさんは、職場に出勤するなり「あんでるせんの魅力」を熱弁し、感動の一部始終を語り尽くしたそうです。その結果、彼女の課の数名が足を運ぶことになり、その体験談を聞いた上司にも飛び火し、一時期ブームを巻き起こしていました。
私はあれ以来、超能力というものを信じています。宇宙は広い。自分は何も知らなかった。良い意味で常識という壁が崩壊したようです。まさに人生が変わる場所といえます。
あなたもいつか、不思議な喫茶店に呼ばれるかもしれません。
小林正観「うたし不思議ばなし」はSKPの書籍です。こちらからオンライン販売されています。


